話にならない話
without thinking
それは、恭介にとって精神的な快楽だった。
物理的な感覚から言えば、どちらかというと苦痛に近い。以前よりは慣れたとは言え、快感には程遠い。
あまりの圧迫感に、本能的に逃げたくなる。身体全体が拒否しているのが自分でも判る。
それでもロイを受け入れるのは、この瞬間のためだ。
分け入るように押し進んでくるロイが、かすかな声を漏らす。抑えつけたように低いその声が耳に届くとき、恭介はひどく昂揚する。
青い瞳がわずかに揺らぐのを見て、どうしようもなく昂ぶっていく。
その昂ぶりが、身体に伝播していく。
物理的な感覚を超えた快楽に支配される。
恭介の昂ぶりに応えるように、ロイもその動きで自らの昂ぶりを伝える。それが呼び覚ますのは苦痛でしかないが、恭介が感じている快感にはむしろそれくらいでもいい。もっと激しく、と心の奥で密かに願う。ロイの動作が激しくなるほど、ロイが恭介の苦痛を忘れて愉悦に溺れるほど、その快感は強まっていく。
足を抱える腕にこめられた力が、うわずった視線が、早い呼吸のせいで冷えきった舌が、恭介を果 てしなく昂ぶらせる。今、ロイの意識の中にあるのは愛情などと呼ばれるようなとりすましたものではなく、もっと原始な、快楽への希求であることを実感し、倒錯的とも言える悦びを感じる。
もっと追い込んでやりたいと思う。何も判らなくなるほどの強烈な快感で苦しめてやりたい。
だから恭介も、ロイに全身ですがる。ロイに触れる全てですがりつく。
互いの、精神的な、また物理的な快楽と苦痛がとめどなく交じり合っていく。
相手から解放される瞬間を待ち望み、摩擦を繰り返す。
ロイが身を引いたあとも、恭介の昂ぶりはおさまらない。
いつまでも、尾を引いて続く。
ロイの、落ち着きを失った青い瞳をまた見たいと思う。その呼吸が乱れていくのを、また感じたいと思う。
だが、恭介は自分の望んでいることに気づいてはいない。
自分の持っている願望を深い闇にしまいこみ、それについて考えることをしない。
身体的な苦痛に堪えてまでロイに身を任せているのは、彼に対する思いから来る自己犠牲だと思っている。
彼への献身だと、そう信じている。
…………すいません。どうしようもなく変態です。
「即物的なものを書いてみたい……と突然思い立ち、一気に書いてしまいました。はじめは書くだけ書いてみて誰にも見せずに捨てようと思っていたのですが、ある意味とてもスッキリ清々しい気分になり、「ああ私は変態だよ、どうだ参ったか!!」というような気持ちになってしまった為にアップしてしまいました(迷惑)。
しかし、当初の目標であった即物チックからは程遠くなったような。というか、また話にならないものになってます。ネタですらないよこれ。もっと実況中継的に描写すればいいのでしょうか。でも奴等はそういう時、何やってるかなんて頭に浮かばないですよ。というか実は結構どうでもいい(笑)。